カテゴリ「ヨーロッパ」に属する投稿[3件]

原題:Skjelvet
106分

 クリスチャンは大災害からどうにか生き延びたのだが、家族とは離れて暮らしていた。あれからもひたすら研究を続ける彼の姿はもはや廃人も同様であり、せっかく娘が来ても予定よりも早く帰そうとしてしまう。救えたはずの命を救えなかったという後悔からの贖罪のつもりなのか、はたまた恐怖か。しかしそんな彼を狙い撃つかのように、今度は大地震が発生するのであった……。

 『THE WAVE ザ・ウェイブ 』の続編ということで今度は少し期待しながら観た。だがそれは失敗だった。色々と力は入っていたものの、映画として見れば微妙だった。微妙だが個人的に名作だった前作の良さが失われているような印象が強い。精神的な問題でパニックになっていたのが前作で、本作は体制的な問題でパニックになっていた。要は災害かつ人災なのだ。

 もしも登場人物が地震大国として様々な想定をしていたら、ここまでの地震が発生する前にある程度避難もできている。ところが彼らは危険を察知する道具を持っていてもきちんと活用しない。何らかの異変があってもそれが地震だとは疑わず、地震を警戒していた者を疑う有様だ。本当に彼らは地震というものを理解しているのだろうか。甚だ疑問である。

 パニックに陥るような状況を迎えて判断を誤るのであればまあいい。冷静なはずの状況で理性を感じさせない判断を繰り返して人々がパニックに陥る……。これでは納得できまい。パニック映画にするべく無能ともとれる行動を繰り返すのはもはやコメディだ。これでは地震に気付いて必死に動き回るクリスチャンの方が滑稽に映る。

 残念な出来になってしまったが、娯楽映画として最低限のレベルには達している。規模はこじんまりとしてはいたものの、映像は前作以上だ。超大作には及ばないが、どこに金を注ぎ込んでいるんだかわからない邦画よりは遙かにいい。だがそれ以外はいまいちだ。彼らの物語は前作で終わらせてしまってもよかったのではないだろうか。

〔 854文字 〕 編集

原題:Bølgen
105分

 地質学者のクリスチャンは大手石油会社に引き抜かれ、今まで働いていた職場を辞めることとなっていた。しかし勤務最終日のデータがどうもおかしく、少し不安を覚えていた。そして迎えた引っ越しの当日。この日も妙な違和感があり、クリスチャンは岩盤や息子のゲーム画面を見て何かに気付く。慌ててフェリー行きの自動車をUターンさせると、クリスチャンは研究施設で働く仲間たちに岩盤の崩落を告げるのだった。

 ノルウェーは岩盤崩落が起きやすい地域で、本作は実際に起きた津波事故に基づいた映画でもあるらしく、災害の恐怖や迫力は確かに感じられる。天災に備えることができても、人はあまりにも無力だ。生き延びる者がいれば息絶える者もいる。最善策も無策も等しくふるいにかけられる。生死さえも運次第でしかないのである。

 主人公のクリスチャンは違和感を無視してすんなり引っ越してしまうこともできた。それでも彼は災害に備えて動き、大勢の命を救うべく働きかけた。もし彼がデータの異変を気にかけていなければ、もし自動車を降りて声を掛けなければ。強靱な肉体こそないものの、彼は誰もが認めるヒーローに違いない。

 こういった映画では筋肉質な主人公が力業で解決するような場面をよく見るが、クリスチャンは常人でしかない。ホテルウーマンの妻も同じく一般人なはずだが妙に冷静で体力もある。ご都合主義で進める為には彼女らが強くなければ話が成立しないのは分かる。ただ個々の資質に頼りすぎているきらいはあった。

 私にとっては名作だが、リアリティを追求する人やパニック時の人々が見せる冷静さに欠いた行動が理解できないような人にしてみたら微妙だろう。それに贔屓目なしに言えば出来映えとしても少し整ったB級映画といったところだ。ただこういう作品を観て自分はどんな時でも冷静に対処できると思っているような人こそ実際の災害では気をつけた方がいいだろう。

 実際の災害でも本来なら助からないであろう場所を選んで生き延びた者もいれば、冷静に対処してそのまま命を落としてしまう者もいる。現実でヒーローと遭遇する機会などそうそうなく、それぞれが限られた時間で少ない選択肢から生存する確率の高い方法を見つけなければならない。私は緊急時でも彼のように振る舞えるだろうか、と考えさせられる映画ではあった。

〔 1000文字 〕 編集

原題:Zoo
95分

 あまり関係がうまくいっているとは言えない夫婦が居た。夫にはまだ幾らかの愛を感じられるが、妻にはそんなもの感じられず、離婚まで考えている。それもそのはずで彼らには互いに抱えた苦しみがあり、その苦しみから逃れきれずにいるのだ。愛は冷え切っているがなくならず、とりあえず続いている夫婦生活。しかしそんな日にも変化が訪れる。謎の感染症が原因で世界はゾンビで溢れかえってしまったのだ。

 よくあるゾンビものと一緒で最初は彼らにとっての日常生活が描かれる。その後ゾンビが出てくるわけだが……この作品にとってのゾンビはそこまで大きな意味を持たない。ゾンビ映画だと思ったら人間同士で殺し合っている海外ドラマ、ウォーキング・デッドみたいなものを想像するといい。しかし本作は更にゾンビ要素が薄く、ホラー映画のエロシーン程度の頻度でしかゾンビが出てこない。

 ちなみに本作のタイトルはゾンビと銘打ってあるが、原題はといえばズー。動物園である。ゾンビが出てくる以上はこれでもいいのだろう。しかし内容を考えると分かりやすいが微妙だ。電車男が流行っていた頃にDVDが販売された『バス男(現在は改題されてナポレオン・ダイナマイト)』をご存じだろうか。あれは主人公がバス通学をしていただけで流行に乗っかった酷い邦題だった。本作もそれと同等である。

 『世界の中心で、愛をさけぶ』という話題作があり、あれは恋人の死をテーマにしていた。つまり話題作のタイトルと話題になりやすいテーマを一緒くたにしてしまったのがこのタイトルとなる。なかなかにぶっ壊れている夫婦が籠城生活をする映画にも関わらず、タイトルは曲がりなりにも感動作風。はてさて展開はどうかと尋ねられれば……強いて言えば感動作といったところか。感動できるゾンビ映画という紹介をするのは難しい。

 ゾンビだらけの世界で物資が不足している。しかも建造物の中は封鎖されている。買い物にはいけないが住民の居ない部屋ならある。もしそんな状況になれば大抵の人は物資を盗み、生き延びようとするだろう。この夫婦だってそうだ。そして生きていれば他に生き延びている者も当然のように出てくる。助けたいと思ったところで物資には限りがあり、分け与えれば自分達の生命にも危機が迫るだろう。

 比較的まともな性格である夫と正反対な妻。彼らがどう生きて、どう対処していくのか。そんな姿をひたすら垂れ流しにしているような映画で、面白いところはどこかと聞かれても私には答えにくい。想像の範疇を超えることはなく、想定外の出来事でパニックになる人達もいない。まだ笑いがある分、ドラマではあるが『サンタクラリータ・ダイエット』の方が楽しめる。久しぶりにイマイチな作品だった。

〔 1158文字 〕 編集

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